Kiss Destination 1

中共と絡んでAFRiCAの話題を取り上げることがあったので、アフリカについて勉強中です。いくつか入門書を読んでいる最中でございます。

1 新潮新書 アフリカ 資本主義最後のフロンティア NHKスペシャル取材班  

2 岩波新書 新・現代アフリカ入門 人々が変える大陸 勝俣誠

3 岩波新書 アフリカ・レポート  壊れる国、生きる人々 松本仁一

1は「ポジティブなアフリカを発見しよう」という合言葉をもとに作られたテレビ番組があり、その取材の中からテレビでは漏れた話題も含めて書籍化。分かりやすく明るいアフリカが見えます。2は入門をうたって入るが、硬派な入門書。参考文献も引用文献も示されています。3は投稿日現在読んでいる途中です。自分にとって適度なレベルでこちらの方が入門的です。この3冊の後も数冊アフリカ関係の本が続きますが、とりあえずここまでです。

さて、感想ですが、やはりあの大きな大陸についてはまだまだわからないことだらけです。アフリカをイメージできないのがアフリカが分からない大きなポイントだと思います。では、他の国はわかるの?と言われると実感なんてないのですが、情報量の違いでなんとなくこんな生活とイメージできているのだと思います。何しろ混迷を極めているというイメージしかアフリカにないので。読んでいく中で、ジンバブエ(きっとご存知かと思いますが、天文学的な数字のインフレ率を叩き出したあの国家です)に驚きました。アフリカは貧しい国というのが一般的なイメージかと思います。さらに、教育も何もまだまだこれからの土地。ですが、ジンバブエは教育もなされて、農業が発展していて国外に食料を輸出していた国でもあったとのことです。一般的アフリカイメージではないのです。ただイメージの問題なので、日本の一般的な経済状態からなされる生活から考えるとはるかに隔たりはあるのでしょうが、それでもある程度満足のいく生活が送れていたような記述でした。

ジンバブエといえばあの大統領、ムガベ大統領ですね。93歳までその地位に居座ったかたです。この方をどう評価するのか。彼が1987年から大統領でいられたのは、ジンバブエで8割を占めるショナ族の出身だったからのようです。選挙をしてもショナ族が多数なので有利。外山恒一さんは「選挙なんて多数派のお祭りだ」と言われてましたが、その通りですね。ムガベさんの政治が腐敗していったのがジンバブエの悲劇ですね。イギリスの植民地だったので、白人がいたのですが、少数の白人による支配という文脈のもと、白人が営んでいた大農場を強制的に黒人たち(ムガベと一緒にゲリラ戦を行ったもとゲリラたちが多いよう)が占拠し始めたことから農業の崩壊が始まったようです。白人対黒人という構図を作り出していくのがアフリカの内戦の様子ですが、国家建設にはどうやらマイナス影響しかないようです。その構図だと、白人の持っていたものを全て奪い取っていくのですが、運営の仕方は奪い取れなかったようで、どのように運営すれば農業がうまくいくかわからず、薪が足りないからその辺の木を乱伐するという具合。白人農場主が切ってもよい木を切るように要請しても聞かれず、殴られるといったことも。

白人が良いことをしていて、黒人が悪いと言いたいのではなく、指導者の問題で、彼がどのようなビジョンを持って国家運営に当たっていたのか、これが大問題です。アフリカでは指導者が自分の利益しか考えない場合が多いので国家建設がうまく進まないようです。2冊読み終えた中で、アフリカのどの国でも国家指導者の腐敗というのが現れてきます。対立の構図を煽って支持率を上げるのではなく、国家の将来を見据えて国づくりを行ってくれれば内戦も、貧困も少しずつ解消されていくのだろうと思います。簡単ではないですが。

10年ひとくくり

今日は備忘録と感慨です。戦後史には全く疎いので今日はその辺りの話を備忘録として。

大学で国際政治の授業を受けていた頃、10年で国際政治は変わると教わりました。2012年に出版された本を読んでいる途中ですが、10年経たずしてまさにと言うことが起きているのを実感しています。

1972年田中角栄内閣の時に日中共同声明が出され国交正常化がが実現、78年福田赳夫内閣で日中平和友好条約(この条約で日本は台湾を捨てた、失策です)、79年大平正芳内閣で対チャイナODA。この期間に高島益郎外務省条約局長が「尖閣の問題が解決していないのに結んでいいのか」と問題提起していました。高島さんは東大在学中に学徒出陣で朝鮮へ行き、ソ連の捕虜になりました。その後の長期抑留中に凍傷になり手足を失っています。そこでの経験で共産主義のなんたるかを知っており、主張すべきことは徹底的に主張し、原則を曲げてはならないと言っていました。

終戦直後から憲法が作りかえられますが、この時の学者たちは相当にGHQに反対していました。日本国憲法を導いたの人に「宮澤俊義」東大法学部教授がいましたが、戦後の学者たちは日本国憲法をいかにして良いものに作り変えるかに腐心したようです。せめて運用の面だけでも上手くいくようにと。そういった気骨ある人達が多かった終戦後から佐藤栄作内閣の頃、終戦から20年くらいたった頃から狂いが生じてきたようです。田中内閣は佐藤内閣の次なのでまさにその時期でした。

高島益郎という人物とその辺りの時代を考察するための備忘録です。中西輝政『迫りくる日中冷戦の時代』、PHP新書。

いなごガイ3

昨日はエチオピアとWHOに深くチャイナの札束攻勢があったと言うことを書きました。今日は、アフリカがチャイナに牛耳られているところにアメリカが攻勢に転じるお話です。

アフリカの地図を確認しましょう。アフリカ東部アラビア半島の向かいに「アフリカの角」と言われる場所があります。そこが失敗国家のソマリアです。ソマリアの西で国境を接している国がエチオピアその西に南スーダン、エチオピアの南にケニア、ケニアの北西にウガンダ、ケニアの南にタンザニアです。

ケニアから始めますね。ケニアの大統領のウフル・ケニヤッタさんが2020年2月上旬に訪問先のアメリカで演説をしています。その演説は、中国から投資を受けているが、それだけでは危うい。私たちは選択肢が欲しい。と言うものでした。つまりはアメリカにもアフリカに投資を!と言うものです。そこでトランプ大統領はケニアとのFTA(自由貿易協定)の交渉に入ります。実際は議会を通してですが。ケニアにはすでにアメリカ軍の基地があります。同盟国まで行かなくても純同盟国みたいなものです。トランプ大統領は、選挙対策をふるまっています。「ケニアとの間には11億ドルの貿易がある。そこにアメリカの小麦を売り込むのだ!」と。

ケニア周辺国の話に移ります。ケニアの北西にある南スーダンは産油国ですが、その99%はチャイナ向けの輸出です。ケニアの西のウガンダはFAOとチャイナの南南会議を開いてしまうチャイナ寄り。そしてケニアの南のタンザニア。タンザン鉄道という大陸横断鉄道が通っています。内陸国のザンビアの銅を海外に運び出すための鉄道です。このタンザン鉄道は1960年代にチャイナの投資で作られました。

1960年代のチャイナは文化大革命、大躍進とか言って国民を殺しまくってた時代です。国内では飢饉が発生して餓死者が大量に出た時代です。そんな国内情勢にも関わらずタンザニアに投資し続けたのですね。タンザニアはチャイナのアフリカに対する最初の投資国で拠点です。ここから進出し始めたのです。そして、今はエチオピアまで。

ケニアはタンザニアとエチオピアに挟まれています。チャイナマネーの国に挟まれているのです。アメリカはここに楔を打つようにケニアと手を結ぶのです。WHO問題をきっかけとしてアメリカはチャイナに揺さぶりをかけるようにアフリカにも出て行きました。

いなごの話からFAO、WHO、FTAまで広がりましたが、驚くべきはアメリカの動き。武漢ウイルスを出発点としながらそこで弱っているチャイナに攻勢をかけるようにアフリカへ目を向ける。視野の広さと戦略。ううん、唸らずにはいられない。国内政治を「ジジイとおっさんとおばさんがゴネてる」くだらないものとしか見ていないけれども、こう言ったアメリカの動きを見ると政治とはこう言うものかと感心します。世界戦略ですね。戦争ではないけれども、自国の優位をいかにして得るか。アメリカの国内政治が全て優れているとは言えないけれども、国際政治における力はすごい。

武漢ウイルスのおかげで米中貿易戦争が一時休戦の様相を呈しています。日本ではウイルスの話題だけ(初めの頃はお花が咲いている話題もありましたが)ですが、世界は動いていますね。いやむしろこう言う時期だからこそ、動いているんでしょうね。世界で自国を優位に立たせようとしている国は世界地図を広げて動いていますね。

いなごガイ2

昨日の予定がずれ込みました。一昨日の続きです。いなごが農作物を食い荒らしたおかげで食糧問題に繋がるのですが、これに対応してくれる機関がFAOです。

2019年11月に中国ーFAO南南協力10周年ハイレベル会議なるものがウガンダで開かれました。チャイナ・FAO・ウガンダの三者が協力します。面白いことにチャイナは途上国として現れます。世界2位のGNIの国なのですが、おかしなことがあるもんですね。FAOのトップは屈冬玉でチャイニーズ、と言うことはこの会議はチャイナが牛耳るようなものですね。「一帯一路」を行うためのものです。しかし、チャイナウイルスのおかげでFAOはアフリカの食糧問題どころではない。だって、出身がチャイナですから。さらにチャイナは札束攻勢をかけてFAOのポジションを買ったのにも関わらずウイルスのおかげでアフリカを助けられない!

FAOが機能しなくなってきているのですが、拍車をかけるようにWHOの問題が発生です。あのテドロス アダノム事務局長です。テドロスさんはエチオピアの出身で国内では保健大臣や外務大臣を歴任しており、なんとチャイナの王毅外相とも仲良し。そこでこのエチオピアですが、AU(アフリカ連合、アフリカの55カ国が加盟)の本部事務局があります。チャイナはここを拠点にしてアフリカに札束攻勢をかけて侵入していきました。エチオピアはチャイナからの投資を受けておりますが、なんとチャイナからの投資がないと既に国家運営ができないくらいの額をもらっているようです。そのエチオピアは2018年までの対中債務利子は帳消しにしてもらったようです。チャイナウイルスに対するテドロスさんの失策もあり、チャイナはお金がかかるのでエチオピアを切りたいようですが、テドロスさんがナイスプレー(笑)でしがみついて離さないようです。チャイナはWHOと深い関係があります。テドロス同志は武漢が閉鎖されるまで、中国の対応が後手に回っているように見せないために時間チャイナウイルスは問題ないということやよく対応しているなんてことを言っていたのですね。ちなみに、テドロス同志の前任のWHO事務局長はマーガレット・チャンです。SARSや鳥インフルの対応でもチャイナ寄りの姿勢を示した人です。国内問題になるだけならまだしも、世界的な問題として広がる病気に対して何処かの国の面子を保つのを助けるのは、国際機関のあり方として如何なものかと私は思います。

このWHOのダメさにしびれを切らしたアメリカが動きます。アメリカはWHO事務局長問題をテコにしてアフリカにおけるチャイナの力を削ぎにかかったようです。

今回の話はまるで何がポイントなのか掴みにくいのですが、もう少しです。続きはまた明日。

いなごガイ1

イナゴ?バッタ?の話題が某ビールのようなウイルス、ええい、めんどくさい、チャイナウイルスによる武漢肺炎の影響でかき消され、かつ更新が遅れたことによりタイムリーではなくなりましたが、だからこそイナゴを書いていこうと思います。今日は内藤陽介さんのお話からです。アフリカのいなごが大変なことになっているようです。この蝗害(こうがい)については聞いたことがある方もいらっしゃると思います。作物を食い荒らしています。ケニア、エチオピア、ソマリア、ウガンダあたりのアフリカ東部で被害が広がっているようです。さらにイラン、パキスタン、インドまで!ソマリアは失敗国家などと言われて政府が存在しないのですが、非常事態宣言が出されたようです。そんないなごがチャイナへ向かうのか?でもヒマラヤ越えられなさそうですよ。

さて、このいなごはケニアから広がっていきましたが、作物を食い尽くす、つまり食料が収穫できなくなってしまうのですね。そうすると食料問題が発生します。そこでこの食料問題に応対するのがFAO(国連食糧農業機関)です。ここがしっかり働いてくれればいいのですが、どうやらそうもいかないようです。その理由は、事務局長にあります。屈冬玉さんです。お名前から察しがつくかと思いますが、チャイナの方です。

なぜチャイナ?

2019年6月にFAOの事務局長を決める選挙で、フランス、チャイナ、ジョージアの候補から選ばれることになりましたが、札束攻勢ですね。アメリカは「地位を国益のために使わない人物であるべきだ」と声をあげはしますが、札束の前には無力でした。こうして誕生したチャイナの組織とも言うべきFAOですが、その本家本元のチャイナが武漢肺炎で揺れております。助けようにも果たして動けるのか。イナゴと武漢肺炎と国際組織の関係は…。続きはまた明日。