月末はオンガク3

前回は揺れるテンポでショパンのバラードでした。今日は一度は耳にしたあの曲です。僕はこの作曲家の鍵盤音楽が非常に嫌いです。全く面白くない。最低最悪。スカルラッティの555のソナタの方が練習曲と言いながらも楽しいし、同じように練習曲の位置付けの「インベンションとシンフォニア」の方が深くて美しいと感じます。お待たせしました。モーツアルトソナタK.331 Rond alla Turca です。

天才と言われる演奏家はどの時代にも生まれています。その一人、グレン・グールドです。彼は記録上はモーツァルトがだいぶ嫌いなようですが、その反対の側面もあるようなのです。そんな対談があります。嫌いであったとしても、ソナタ全曲録音をしているのです!

モーツァルトのトルコ行進曲というと、その演奏の多くがやたらと早くかっ飛ばす感じのものが普通です。小学校の給食の時間に素敵な音楽ですよというもので、流されていましたが、あまりにもカッコ悪く感じていました。なんてカッコ悪い曲なんだろうと。僕の中で「クラシックダサい」を印象付けた代名詞でした。それ以来、モーツァルトという作曲家は避け続けてきたのですが、あ、でも一応バレンボイムのモーツァルトソナタ全集は持ってます。ろくに聞いてないけれども。

そのモーツァルトを覆したのが、バッハ弾きといったらこのかた、グレン・グールドです。全集を買ってモーツァルトを聴いたら…

すごい!カッコいい。そしてあのトルコ行進曲は…

https://youtu.be/eTZ33EVK3Ug

という具合です。グールドのモーツァルトで始めてモーツァルトがわかりました。

カツアゲ

1338年日本の人口は818万人でGDPは724億円だったそうです。1404年から室町幕府による勘合貿易が始まります。良い子の受験生はこれを「かんごうぼうえき」と読みますが、実態がわからなくなるのでこの読み方ではない読み方を教えます。それは「カ・ツ・ア・ゲ」です。
ご存知ですよね?あの不良と呼ばれる人たちが、善良な人たちに向かってお金を巻き上げるアレです。「あ、お兄ちゃん。ちょっとここでぴょんぴょんと飛んでみて」「??」「いいから早くしろよ!」「はい」。チャリン、チャリン。「よし、もういいぞ。ポケットのもんだしな」「あん?それだけじゃねーだろーが、おい、財布出せよ」「安心しろよ、俺たちは優しいから、中身だけはもらっといてやるからな」「じゃあな。この辺は悪い奴がいるから気をつけろよ!」という一連のアレです。
室町時代3代将軍だった足利義満は子供の義持に将軍職を譲った後も実権を握り明(当時のチャイナ)と国交を結び朝貢形式の貿易を始めました。中華かぶれの義満は中華様にへつらっていくのですが、この貿易と言う名のカツアゲはたいしたものです。本当にへつらってるのか?朝貢という形ですが、これは明の皇帝陛下が滞在費などなど諸々の費用を負担してくれます。そして日本は貢物を持っていくのですが、これも中華皇帝は価格の3倍だったかな?とにかく、お値段以上ニトリな感じで引き取ってくれるわけです。さらに、朝貢船には皇帝への献上品の他にチャイナの市場で売る商品も積まれています。たくさん売ってきます。最大規模は一回で9隻の船が派遣されたようです。
その14世紀に、チャイナから戻ってくるお船が沈没したようで、それを引き上げて調査を行ったところ、8000貫文の銅銭が見つかりました。現在の価値に直すと1貫文が10万から20万くらいです。そうするとこのお船1隻からなんと8億から16億のお金が積まれていることがわかります。さらに、朝貢戦は複数で行きますから、最大9隻だった時にはなんと72億から144億くらいの収入が一度にやってくるわけですね。
これだけあったらだいぶお金持ちになれそうです。これが毎年定期的に室町幕府に入ってきたら良いのですが、朝貢貿易もといカツアゲは盛んになったり中断したりとあるのです。継続しないのですね。チャイナ側の理由もあって制限を受けたりと。そりゃそうですよ。いくら中華皇帝様でもねえ。
バサラという無茶苦茶な人たちがたくさんいた室町時代の一側面でした。

トウガラシ2

民主化後のチリは、経済もある程度うまくいっていたおかげで政治も安定します。そして、銅依存の経済から多角化方針へ舵を切ります。農産物を売りにかかります。もともと農産物も作っていましたが、輸出して稼ぐ方針になりました。隣国アルゼンチンの状況が良くないため、そのマーケットを奪います。ワイン、フルーツ、サーモンです。2007年に日本と経済連携協定を結び関税が下がったため、チリワインが増えました。しかし、20世紀以降の世界のマーケットはチャイナです。2005年にチャイナと自由貿易協定を結び、2006年に発効です。2018年の対中貿易額は過去最大428億ドルで2005年の6倍だそうです。現在チリの最大貿易相手国はチャイナで、チリはチャイナに銅と農産物をたくさん売ってます。反対にチリにはチャイナからPCやスマホが入ってきます。例のファーウェイです。2019年4月中国の投資フォーラムで中南米でもマーケットを拡大するときにはチリを拠点として投資を!と呼びかけました。チリにはそれなりの経済規模があるので、先進国ととらえ、経済援助ではなく、投資を求めたのですね。こうして事業を拡大していくと労働力の不足が起こります。しかしそこは南米。スペイン語圏です。不法移民は困りますが、正規の移民はウェルカム!スペイン語話者で、安く働いてくれ、高等教育を受けた人または技術者なんて都合の良い人が、チリにやってきます。ベネズエラから。ベネズエラが破綻したので職がないのです。

そうすると、チリの非熟練労働者は失業していきます。失業率が上がります。国民の不満が高まりますね。2019年にチリで予定されていたCOP25とAPEC開催ができなくなった背景です。引き金が、地下鉄の値上げです。この値上げ幅が大きく、外国人労働者による失業を基とする貧富の差に対する不満を爆発させる引き金となりました。そして、地下鉄の値上げに対するデモが大きくなり、政府の対応が後手に回りなかなかデモがおさまらない。非常事態宣言を首都に出し地方に夜間外出禁止令、それでもデモはおさまらず、では値上げを撤回して閣僚を入れ替える。これでもおさまらない。非常事態宣言を撤回。これでもダメ。小出しに対策をしたために全く有効でなかったのですね。結局、COP 25、APECを中止にしました。経済効果もある会議でしたのに。

優等生と言われていたチリが不安定になってきて、アルゼンチンでは左派政権が誕生し、エクアドルでは暴動、ボリビアは左派政権が潰れ亡命…。南米が荒れてきました。アメリカの足元である南米が荒れ始めた中、アメリカの今後はどうなるのでしょうか。

law & order ! 2

「America First ! 」、チャールズ・リンドバーグ大佐が言った事です。チャールズ・リンドバーグは共和党警の人で、彼らが第二次大戦のアジアへの軍事介入を否定していました。そのロジックは、アメリカがアジアで軍事介入するようになると、その軍隊が権力を持って、そのうち肥大化した常備軍がアメリカの自由と民主主義を脅かすことになる、そうやってアメリカを軍国主義化してはならないからアジアに介入してはいけない。アメリカの憲法に基づいた自由と民主主義を守るためには軍の強大化に反対すべきであり、アジアの戦争に介入すべきではない。これがアメリカファースト。これが基本です。

ウィルソンなどは国際協調のためにはアメリカ軍が世界の警察官として軍事化隠喩すうることも多少は仕方ないと思っていたようです。民主党系はこのように考えているようです。対して共和党は、軍は国軍であって、国を守るための軍であって、国民を弾圧させる軍にしないためにも外国との戦争はさけるべきであると考えています。合衆国憲法の理念に基づいているのが共和党です。トランプ大統領も、イランやアフガンから軍を撤退させるのはそのためです。

第二次大戦後、合衆国憲法の理念に反することであっても、世界の警察官としてアメリカの国民を守るためには軍を使わねばならないとなったようです。しかし、トラブルシューティングをするだけです。アメリカ国民が自由に貿易をできるために世界の安定を守ります。そのためにアメリカ軍は問題に関与するのですが、「プレゼンス」と言うことで、存在を示すことにとどめています。手を出すつまり、軍事行動を起こして問題を発生させた相手を攻撃することはしません。プレゼンスであり、介入はしない。不安定化させないために存在すると言うのが、米国の軍人のコモンセンスだそうです。ロス暴動の時に軍を出動させましたが、それは戒厳令下での出来事です。しかし、プレゼンスでした。武器を使っていません。暴動を抑え込むために軍隊を出して威圧したのでした。尖閣の問題でもアメリカはプレゼンスです。領土紛争に直接手を出しません。戦争が始まって、海が時自由に使えなくなってアメリカ国民が不利益を被るのを防ぐために、アメリカ軍は最大限の努力をします。それが、プレゼンスです。姿を現して、問題を起こさせないということです。

自国に閉じこもっているはずのアメリカだったのですが、それを一大転換させたのがパールハーバーを含む第二次大戦の日本のアメリカへの攻撃だったようです。トランプ大統領がパールハーバーとか口走ることがありますが、それはアメリカの政治と軍の関係に転換を迫るような大きな衝撃だったからです。それほど、アメリカの政治と軍の関係については、アメリカの基本理念を知らなければなりませんね。

このテーマは勉強せねば。伊藤俊幸元海将と江崎道朗さんのお話からですが、腰を据えてやらねば説明できない…